片足カバリア島

狐かわいいよ狐、な狐の、MMORPG「トリックスター」お子様には不向きなプレイ日記。文字サイズは「小」がいいみたい。

夏の花火座 



砂が小高い丘を作る その上にそなえられたベンチで

一人の老人が 星空を眺めていました


こと座 わし座 白鳥座





「あれは、何座?」

「さあ…。なんと言ったかな」

老人の隣には いつの間にか 小さな女の子がいて

一緒に 空を見上げているのでした 


「ちゃんとベンチに座ってごらん。とっておきの話をしてあげよう」

「それ、たのしい?」

「どうかな…、ちょうど今頃、夏のころのお話だよ。

このあたりの村に…、ずっとずっと昔だが、夢、という男の子が住んでいた。

花火職人の息子でね、小さな橋を渡ったとこに住んでいた、アンチョコという女の子に、

恋心を抱いていたんだ」





夏の花火座 作:アンチョコ




とある山村で生まれ育った 花火師の息子 夢

みずからも 花火職人を目指す彼は 父親と共に 修行のため

村を離れていました


何ごとも "ひとつところ"に留まっていては

新しい風を入れなくては 前進できない それが父親の口癖

中学生くらいになって 夢は 親子揃って 村に帰ってきました


20070907195928.jpg



村の少年達には 今ひとつ 溶け込めなかったけど






夢少年は 気にしませんでした






「夢くん、こんな娘だけど、仲良くしてやっておくれよ。

病気がちなせいで、すっかりひねくれちまってねぇ」

「もちろんです。

あ…今度の夏祭り、僕、自分のを上げるんです。

よかったら見に」

「ついに夢くんも花火師デビューかい。そりゃあきっと見に行くよ。

夢くんももう、そんな年なんだね。ねえアンチョコ?」

「……」

「小さなものですけど… じゃあ、また」


アンチョコとは 幼い時よくいっしょに遊んでいた 幼馴染です

彼は アンチョコを 友達と思っていました けれど

時が経って帰ってくると どうも様子が 違うのです

たしかに体は 丈夫じゃなかった でも いつも優しかった少女……






「僕の事、忘れちゃったのかな」



夢少年が はじめて 自分の作った花火を打ち上げる 村祭りの日は

どんどん 近付いてきます






花火一筋 厳しい父とは 交わす言葉も 数少な


ある日 アンチョコを見舞うための お花を摘みに

野山へと出た 夢少年

すると 悪ガキ二人が こそこそと 話し合っているのを 盗み聞きして しまいます


「アンチョコは、となり街に入院するらしい。手術があるんだ。希望は薄い」

「そんなに悪いのか」

「ああ。ありゃあきっと、肺炎か何かなんだ」

「手術ってのは、そりゃあいつの話だ」

「祭の日だとよ」

ザッ、ときびすを返し その場を後にする 夢少年

悪ガキたちは 聞いていやがった と その背中を 追いかけました











「ありがとう、いつも、来てくれて」

「僕のこと、覚えているの?」

「うん」

覚えてるよ、お祭で金魚を釣ったこと、川原で遊んだこと、おままごとしたこと―――


ふいにアンチョコは立ち上がり か細い指で 窓の外を 指さしました

「見て……一番星」







「……夢くん、花火。がんばってね」

「アンチョコちゃんも……」

「大丈夫よ。あたしは、ちゃんと帰るから」

アンチョコの 病にやつれた白い顔は

夕映えに照らされて すごく綺麗に 見えました

そう この世のものでは ないかのように


彼女を失ってしまうことの怖さ

その日の胸の 苦しい鼓動といったら……


祭りの日までの三週間 彼は毎日のように 見舞いに行きました

アンチョコは ろくに食事もとらなかったし 顔色も悪くなっていきました

それでも 夢が来ると うれしそうにしたものです

星ばかり見ていたけれど―――


少女は入院 少年も祭の準備 そしてついに その日が来ました


夏祭りの夜 そこには 息子を捜す 花火師の姿が ありました

花火の夜は 手術の日……







あの日 事情を立ち聞きしていた 悪ガキたちには

夢少年のゆくえに 心当たりが ありました


案の定 となり街へつづく山道で 見つかってしまう 夢少年






立ちふさがるガキ大将 ウッディ

「だめだ。約束しただろう。花火を、がんばるって。アンチョコと」

「ど、どうしてそれを……」

「果たせ。約束を。病院には、オレが行く」

「……」

「約束したんだろ。アンチョコは、おめぇの花火を待ってるんだ」

「……、……たのんだよ」

「ああ、男の約束だ」


病室に入った ウッディは 一目で アンチョコの状態が

絶望的であるのを 悟りました






黙ったまんまのお母さん 息も絶え絶えな少女

「おばさん、窓を開けてもいいですか。ここからなら花火が見えます」

「花火かい……? ……アンチョコはね、もう意識がないんだよ……」

「アンチョコに、見せます。夢が、打ち上げる」


夜の闇をぱあっと






鮮やかなきらめきが 盛んに彩っては 消えてゆきます

村祭りの花火が 始まったのです

耳をつんざく 大きな音と 華やかな色彩

けれどアンチョコは ぴくりともしません


やがて夜は更け 花火師ネイノーによる 花火の競演が 明けようかという その時







彼女を つなぎとめたかった

いつも遠い星ばかり見ていた彼女を 明るい 夏の花で


小さいけれど 真摯なまたたき 幼い花火師 夢の花火です








そしてアンチョコは 静かに息をひきとりました

世界中どこを探しても 彼女はいないのです

あの一番星のように 遠いところへ……











「……花火座か …きれいだな」

「……きれいだね」








おしまい






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「夏の花火座」 あらすじは 大体 こんな感じです(意訳あります)
セリフの全部を ご覧になりたい方は 劇団ショコラブログへ……
あ まだ アップされてないや(今日現在)


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[ 2007/09/07 21:37 ] 劇団での事 | TB(0) | CM(7)
どうも 悪ガキ2号です
この時chではツンだとか言われてるだなんて知りたくなかった
コメ一号は貰った!
[ 2007/09/07 22:13 ] [ 編集 ]
こんなに良い話なのに
chチャは下ネタのオンパレードでした
主に私です
[ 2007/09/08 00:41 ] [ 編集 ]
あの日の感動が蘇ります・・・
ネイノーさん 劇ショコ最後の公演 お疲れさまでした

そして初めまして^^b
いつもこちらにこっそり遊びに来て こっそり帰っていく私は 実は初めましてではありません
覚えてらっしゃらないと思いますけどww

あの最後の公演は(私が観劇したのは最初で最後) 本当に感動しました
恥ずかしながら 涙腺が決壊しました
これから 劇ショコの公演が見られないと思うと 本当に寂しい気がします

感動をありがとう
そして
今までお疲れ様でした^^
[ 2007/09/08 02:33 ] [ 編集 ]
感動を、ありがとうございます。
みにいけなかったのですが、今読んで涙が溢れました…。
ネイノーさん、改めてお疲れ様でした。

前回名前を読めなかったようなので、名前は「あおい」と申しますです、はい。
読みづらい名前で申し訳ないです;
では…
[ 2007/09/08 11:42 ] [ 編集 ]
うぅん やっぱり 感動です
劇団ショコラ最期の劇は
素晴しいものでありました

僕は涙を流しました 久しぶりに泣いたなぁ
chチャットは挨拶で流れました
[ 2007/09/08 17:40 ] [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2007/09/08 21:18 ] [ 編集 ]
>係長
いいじゃんねツン。最後までデレなかったけど……

>クイーンマリーさん
いーんじゃないっすか。
多様な楽しみ方ができてこその 娯楽作品ですからね

>椎堂舞さん
当日は ご来場いただきまして まことに ありがとうございました
手前びいきながら 私も 出来上がってきた 台本を見て
ウルッときてしまったクチであります(リハーサルでも)
個人的には うちの団長の才能を TS内で 堪能できなくなるのが
一番 悔しいことであります
でもー ショコラは永遠に 不滅です! 嘘です。解散します

>碧夷さん
漢字読めなくて すいません
私は 今回の公演 ほぼ ノータッチです 
ですからあんまり お疲れってません…… でも ありがとうございます!

>ゾーリン
来てくれて ありがとうねー
だよねー 泣けちゃうよねー 団長すごいよねー(何故か自慢げに)

>非公開コメントMさん
はいっ はじめまして
当日の公演は いかがでしたでしょうか
劇団ブログのほうでは コメント・トラックバックともに どんどん 受け付けておりますので
レポートが出来上がったら ぜひ お知らせくださいね みんな(団員とか)やっぱり
お客様の反応が 気になりますし 見に行かせて頂くと 思います
[ 2007/09/09 14:25 ] [ 編集 ]
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